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今井タカシ

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1970 年 日本生まれ シューズクリエーター
幼少時代よりスニーカーカルチャーに大きな衝撃を受け、1980 年代後半よりストリートカルチャー、クラブカルチャーにどっぷり浸かる。音楽、スケート、ダンス、グラフィティ等、様々なジャンルに密接な環境で育つ。 1990 年代前半に今や伝説と化したHIPHOP ユニット、GAS BOYS を結成。メジャーデビューも果たしている。アーティスト活動という異色の遍歴を持つ。シューズデザインにおいては、数多くのブランドやアーティストとのコラボレーションやダブルネーム、別注等の仕掛人として90年代中盤以降のスニーカーブームの中心人物として活躍。現在はシューズクリエーターとして国内外を問わず、グローバルに活動の場を拡げている。昨年、東京恵比寿にリアルコミュニティースペース「頭バー」をオープンするなど話題に事欠かない。
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シューズ作りを始めて10年の歳月が経った。
私の中に微妙な変化が起こりはじめたのは数年前のことだった。
事の発端は端的に言えば、やっている事に倦んできたということだった。
別の視点で見れば、見えていなかったものが見え始めてきたとでも言うのであろうか。
盲目的にしか物事を見ていなかったのだと同時に痛感もした。
かつての私のシューズ創作手法は、まさにHIPHOP的であった。
オリジナルの音源(元ネタ)を切って刻んで張り合わせる、いわゆるサンプリング、
リミックスと呼ばれる手法である。
そうすることで既存の価値観を覆し新しい価値観を産み出す、と信じて疑わなかった。
そして、その作業に没頭していたのであった。

ところが、ここ数年でその作業の本質が見えてこなくなってきた。
もともとあるものを、どうこねくり回しても、
それが本来の意味におけるオリジナルには到底なり得ぬことを。
どうあがいても自己の魂の充足には到達し得ぬことを。
それは、まさにパズルゲームであってシューズ創作という名の下でのゲーマーでしかないのではないか。

年を重ねるごとに、ゲームを楽しむ行為よりも、もっと根源的なものを強く求めることになってきた。
それはまさにオリジナルへの憧憬。
自己発露をどのようにシューズ創作へと変換できるのか。
自身の内面の投影をどう表現しきるのか。
そう思い至るに及び、シューズ創作における根本的な見直しを図った。

シューズの在るべき姿として自分がまず想定したのは快適さであった。
履きやすく、直感的に快適であること。
そしてオリジナルなコンセプトを付加すること。
シューズのもつ普遍性にイカなる楔を打ち込めるのか。
そのことを念頭に置き、新たに自身のシューズブランドを創設することに相成った。

模倣なき果てしない地平線。
繰り返される自己との対峙。
自分が自分であるための自己表現法の確立。
試行錯誤の連続ではあるが、
自身のシューズ創作を巡るこの旅は永遠につづく。

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