日進月歩で世の中になかが変わっている状況で、多くのことを速やかに自分一人で判断することなど、まず不可能だといえますし、何もかも自分でやればいいという考えなど、
いいわけありません。
さらにいうと、特に中小企業の場合は、上位下達的な経営はやめ、全員参加型の経営にすべきです。
権限をトップに集中し過ぎないようにして、可能な限り権限を社員に委譲するべきでしょう。
あるいは、聞く耳を持って社員から尊敬されるような経営者になる。
何でも言える組織風土をつくる。
そのように社内環境を整えなければ、経営者の分身など育てないでしょうし、ヘタすれば裸の王様と化してしまうことになりかねません。
以前、ある会社の社長さんから、
「自分の仕事をなかなか社員に任さられずに困っています。どうしたらいいですかね」
と質問されたことがありました。
そこで私が「経営者の仕事は社員のモチベーションを高めることです。営業するとか、コストダウンを図るとか、銀行に行くとかは経営者の本来の仕事ではありません。そんなことをしているから社員が育たないのではないですか」
というと、その社長さんは「なるほど・・・」と納得をしていました。
経営者の仕事は、1つ目はどこに行くか方向を明示する。
2つ目はやるかやらないかを決断すること。
3つ目は社員はモチベーションを高めることです。
特に重要なのが3つ目で、自分が示した方向、決めたことに対して、全従業員が全身全霊で価値ある仕事に取り組んでもらえるように、よい環境を整えるというのが経営者にとって一番大切な仕事です。
『利益を追わなくなると、なぜ会社は儲かるか』坂本 光司著 ビジネス社